第15回派遣かふぇレポ

テーマ

年末年始・夏休みなどの派遣先社休日に有給休暇を使えない問題を考える

今回の派遣かふぇのテーマは派遣先休日です。

ノーワークノーペイ

基本的に時給制である派遣労働者は、年末年始、ゴールデンウィークなどの祝日が多い月は稼働日が減り、翌月の収入が少なくなるのはご存じのとおりです。

 メーカーなどは祝日のほかに独自に社休日を設け長期休暇としている企業があります。派遣元の就業規則や契約書の休日の項目に「派遣先社休日に準ずる」という記載があれば、その日は労働日ではなく休日になるため有給を当てることは出来ず、さらに減収となります。

 派遣が導入された当初は、正社員よりも高賃金という雇用形態だったため、問題として上がってきませんでしたが、昨今の派遣雇用は不安定、低賃金でその格差が問題とされてあり、特に契約内容に異を唱えると社内選考で落ちたり契約更新がされなかったり労働契約の対等が担保されているとは言えない状況となっています。

石橋みちひろ参議院議員をゲストに迎え、派遣先休日についての当事者の話を聞いてもらう回を開催しました。

テーマを選んだ説明を経て、石橋議員のご挨拶からスタートしました。

石橋さん挨拶

「当事者の声があると無いでは、やっぱり全然違います。派遣かふぇでも意見交換をしてきましたが、当事者の声というのは本当に役所に伝わっていなくて、今日のテーマもそうですが派遣かふぇで出ていた問題を役所にぶつけると、これまでもそうなんだけれども『そんな問題あるのですか?』と驚かれる。
表面上の制度と現場の運用が違う。実態実情を知らないと派遣制度の問題は炙り出せないのだけれども、厚生労働省の官僚がわからなかったら大臣はじめ政務官のみなさんも分からない。統計や相談のまとめ方の問題で、実態の把握が出来ていない状況もあるので、こういう場で出た話を聞いて、官僚のみなさんが「なんとかしなきゃ」と改善につなげていくことが大切なので、ぜひ今日はみなさんの声を聞かせてください

今回、改めて派遣労働という構造的な問題で、働いているみなさんの権利保障としての有休の取得、休業補償のあり方について、厚労省に対して注意喚起をして対策を講じていかなければいけないと。僕らも今後の課題としてあげさせていただきたいと思います。」

当事者の声①

いろいろな雇用形態の人がいる。土日休みで正社員と同じ働き方をしている人もいれば、シフト制で正社員と違うスタイルで休みを取っている人もパートタイムの人もいるけど、みんな派遣でひとまとめに同じような扱いになっていて。そのあたりが問題なのではと考えています。法的にはどうなっているのか知りたい

石橋さんの回答

派遣先との雇用契約において、どのような雇用契約になっているのか。このへんの複雑な雇用形態が、使用者責任、雇用者責任が曖昧になって、本来、労働者のみなさんが受けられるはずの権利が侵害されている現状、実態があるということが根源的な問題です。

派遣法、法律上、法制度上で原則的なことは有給休暇は休日には取れないという概念があるが、シフト制の皆さんの場合は休日はどこなのかが複雑になっている、そのなかで使用者の個別の判断にゆだねられてしまっている状況が、より強く感じられているのではないか。月給制であればルール上はハッキリするのだけど、シフト制やパートタイムの場合は複雑怪奇で、より権利の行使が難しい状況に置かれてしまっている。

休業補償についても、そもそも知らない人が多い。直接雇用でもフルタイムとシフト制の労働者で休業補償のあてはめが複雑であることが、このコロナ渦で明らかになりましたが、派遣は間接雇用なので、もっと複雑だろうと思います。

当事者の声②

派遣の営業に確認したところ派遣先が夏休みとしていると有給は使えないと言われた。有給奨励日だと有給が取れる。アンケートの結果で有給休暇が取れると回答した人の中には、夏休みが有給奨励日だから有休が使えた人もいるのではないか。

派遣元も派遣先もそういうことを教えてくれない。製薬会社に派遣されたとき夏季休暇やお盆休みは有給休暇を使えないといわれていたが、夏季休暇と特別休暇にわかれていて、特別休暇に有給休暇が取れるのでは?と交渉してそこだけ有給休暇が使えた。派遣先が、この休みはどんな休みなのかを教えてくれないと有給が使えるかわからない。

メーカーに派遣されたが就業前に「ここは社内カレンダーがありますが、ご対応いただけますか?」と聞かれる。派遣会社は、そういう言い方をします。飲み込んで納得して働いてくれますか?と。言い方もボヤっとしているので分からない。今年3年目ですが、じっくり社内カレンダーを見たら有給奨励日と書いてあった。派遣元営業に知っていたのか聞いたがきちんと答えてもらえなかった。

ほかの派遣の人と話をしないように言われている。特に今はテレワークなので情報共有も出来ず分断されている

石橋さんの回答

派遣先が雇用契約を結んでいる派遣元として派遣先との派遣契約の休日について、どういったときに有給休暇を使えるのか、説明責任を負っている。有給奨励日についても、企業によっては派遣の人に有休を使うなという企業も、もしかしたらあるかもしれない。企業企業でどういう扱いになっているのか、どういう合意になっているのかの説明が行われていなくて、そこでこういった困難が出ているのではないか。
ここは重ねて、派遣という雇用形態に根本的に介在している問題であるという問題意識はみなで共有すべきだと考えます。
派遣元によっても違うし、営業さんによっても違うというのは、これまでも聞かされてきましたけれども、ルールが違うとかいったことは、すべての労働者に認められている権利や福利厚生に格差が出てしまうというのはあってはいけない話だと思うんだけど、現実問題で起こっているし、派遣労働者同士が分断されていることも含めて、派遣の方々が置かれている構造的な問題を行政側がしっかり認識したうえでルールとしてどう対処対応して、労働者の権利を守っていかないといけないだろう。それが出来ないのなら、派遣という雇用は根本的に改革していかないといけない。このままではダメなんだということを問題提起していかないといけないのではと思います。

当事者の声③

派遣先が有給を取って良いと言っているのに、派遣元が取ってはダメだと言われている。就業規則にも雇用契約書にも記載はなく、派遣元が派遣先に言って、Web勤怠の有給申請の承認をしてもらえず、取り下げて泣き寝入りをした。派遣元の営業に聞いても取り合ってもらえず、法的な根拠を説明を求めたが、具体的な説明はなく、出来ない、しない、ルールですの一点張りで、ルールはどこから来ているのかと聞いても答えてくれなかった。

石橋さんの回答

契約上のルールが明文化されているのであれば、それをもとに議論できるけど、根拠も示さず、明治もされていない場合、運用上のルールはどうなるのか、改めて確認してみますけど、派遣先は良いと言っているのに契約上のルールもなしにダメだと言っているなら、けしからん話だとおもうので、その時は内々で会社名を教えてください。今の日本の同一労働同一賃金は、名ばかり同一労働同一賃金なので、今度テーマにしてやりましょう。

2020年の派遣法見直しが先送りになってしまったので、次なる改革でチャンスが来るのは働き方改革関連法で、派遣法の同一労働同一賃金で、派遣先均等均衡方式、労使協定方式の議論が、またやってくるので、そこをターゲットに派遣法をどう変えていくのかという議論を、当事者のみなさんに参加参画をしていただいて、みなさんの声が届く形での派遣法改革の論評を進めて準備をしていくべきだろうなというふうに思います。

石橋さんご挨拶

1時間という短いようで充実した時間でした。当事者が声を上げてくれる場が貴重です。一番声を上げてもらいたい派遣の方々が、立場や時間や余裕の問題で一番声を上げられない状況になっている。問題課題に直面している方々が声をあげてくれることで、僕たちも行政を行っている厚生労働省の担当者たちに、きちんと問題の所在を伝え、解決に向けて政治が対応していく。こういう営みが必要なんですね。声をあげていかないと、何も問題がないんだ、上手くいっているんだ、派遣の皆さんも、まぁまぁ満足しているのだろうという、間違った認識に陥ってしまうので、それをさせないためにも、当事者の皆さんが声をあげてくださることが極めて重要で、そういった場所を提供してる派遣かふぇ、とりわけtwitterスペースで参加しやすい形で行っていることはとても大事なことだと思いますので、今後も続けてください。引き続きよろしくお願いします。

まとめ

今回のtwitterスペースは、過去最高の94名にご参加いただきました。ありがとうございました。

平成29年派遣労働者実態調査の概況(再集計確定版)によると派遣労働者は35歳以上が7割です。雇用安定措置の正社員化も正社員を目指した転職も難しく、減収で貯金や投資に回すことも出来ず余裕のない状況であり、不合理な格差の解消に向け早急な対応が必要と考えます。

 2020年4月1日から派遣労働者の同一労働同一賃金の実現に向けた改正労働者派遣法が施行さ れ、不合理な待遇差をなくすための規定の整備が設けられました。派遣先が実施する業務に必要な教育訓練や利用機会を 与える食堂・休憩室・更衣室については、派遣先の通常 の労働者との均等・均衡が確保されるはずですが、派遣先休日は派遣先の通常の労働者は減収とはなりませが、派遣労働者は減収となります。

派遣先休日について納得していないという声を厚生労働省に伝えるためにも、アンケートに今回の派遣かふぇのお話を加えて、不合理な待遇差の解消を求める要望書を提出しました。下記のURLからご確認ください

派遣先社休日に関する派遣先及び派遣元企業の対応に関する要望書

今後の予定

労働組合、同一価値労働同一賃金をテーマに考えています。また、人材派遣協会のアンケートにあわせて、派遣かふぇでもアンケートを取り、人材派遣協会の行うアンケートに派遣労働者の本音はどの程度反映されているのかを探ってみたいと思います。
派遣かふぇの公式twitterアカウントをフォローしていただけたら幸いです。

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